ベクトルポテンシャルも電気力線も実在する

 「ベクトルポテンシャルAも電気力線も実在する」と考え、e=-dφ/dt=

-2πr×dA/dtとe=BLVの説明にトライしました。電気力線中に導体があれば電圧が発生し、ベクトルポテンシャルが電気力線、電気力線がベクトルポテンシャルに変わるという気に入ったアイデアでしたが、重要な確認実験を忘れていました。2枚の平行板に電圧を掛けると平行板間には、+極から―極に向かう電気力線があります。この電気力線中に、電気力線と平行に導体を置き、導体に電圧が発生するか否かの確認実験です。電圧の発生は在りませんでしたので失敗事例としてお知らせ致します。

e=-dφ/dt=-2πr×dA/dtとe=BLVの説明は、「8.電気力線とベクトルポテンシャルAの相互変換」と「9.e=―dφ/dtとe=BLVの関係」です。

 

 

1.ベクトルポテンシャルの実在は物議を醸す

 実在するのはベクトルポテンシャルの方で、磁束はベクトルポテンシャルの表現方法だと思っています。ベクトルポテンシャルも電気力線も実在すると、真空には構造が在ることになります。真空に構造があれば、真空にも黒体放射が在ることになります。真空に黒体放射が在ると、ビッグバンを支える宇宙背景放射と真空の黒体放射の区別が付かなくなります。

 真空に黒体放射があるなら、地上で見られる黒体放射は物質中の真空の黒体放射だとも考えられます。そうであるなら、地上で見られる黒体放射にも非等方性があるはずです。人工衛星宇宙背景放射の非等方性が測定出来るのですから、地上の物質の黒体放射の非等方性の測定は可能だと思っています。

 ベクトルポテンシャルと電気力線の実在は、真空に構造は在るか、真空に黒体放射はあるか、地上の黒体放射に非等方性はあるか、そして、ビッグバンを支える宇宙背景放射と真空の黒体放射の区別が付かなくなるなど物議を醸し出しそうな展開となります。

 

2.ベクトルポテンシャルと電気力線の実在を考えたくなる理由

 それでも電磁気の現象、真空の現象、太陽系の真空に対する速度が実測できる可能性が在る事などから見ると「ベクトルポテンシャルも電気力線も実在なのだ」と考えたくなります。

 電磁気の現象、真空の現象とは、アハラノフ・ボーム効果(AB効果)、変圧器の発電、後から出て来る9.の「e=―dφ/dtとe=BLVの関係」、空気シャワーと呼ばれる1個のγ線が多数のγ線と多数の電子・陽電子対に替わるなどの現象です。そして、ドップラー効果と地球の公転速度を使って、太陽系の真空に対する速度を実測できる可能性が在る事です。

 

2-1.アハラノフ・ボーム効果 

 電子がベクトルポテンシャルに影響を受ける現象です。磁気を作らずベクトルポテンシャルを作り出すのは無限長のソレノイドだけでしたから、どの実験の結果も、ベクトルポテンシャルの完全な証明には至りませんでした。完全に磁気のないベクトルポテンシャルを作り出したのは外村彰でした。ドーナツ状の磁石を超伝導体でくるみ、マイスナー効果で磁束を完全に磁石内に閉じ込めたのです。ドーナツ状の磁石の中と外部を通る電子が干渉しました。これで、アハラノフ・ボーム効果を完全に実証しました。

 

2-2.変圧器における発電

 変圧器では、鉄心の内部の磁束が変化し、鉄心の外部にあるコイルに電圧が発生します。鉄心の外部には磁束は在りませんから、磁束の無い所で電圧が起こっていることになります。私は、自身が納得するために、下記の写真のように、コイルを鉄心から離した実験をしました。

 変圧器の2次コイルを鉄心から1m離し、1次コイルに直流電流を流し、2次コイルの所に磁場がないことを方位計で確認してから、1次コイルに交流電流を掛け、磁場の無い所でコイルに電圧が発生することを確認しました。

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 この実験を1次コイルも2次コイルも直径4mぐらいにして行えば、1次コイルの直流電流で、2次コイルのどの位置の方位計も動かないことが確認でき、「上の実験では、発電は1次コイルの近辺で起こっているのではないか」と言う疑いが無くなるものと思っています。

 

2-3.磁束とベクトルポテンシャルの関係とE=-dA/dt

 実は、E=-dA/dt は E=dA/dt なのです。Eは電位傾度で電圧の1m当たりの下がり方を表しています。電圧の上がり方ではなく、下がり方を表しています。そして、E=電界です。

 下の図が、磁束、ベクトルポテンシャルが変化した時に半径rのコイルに発生する電圧、電位傾度=電界の向きを表したものです。

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 E=dA/dtの計算です。

   E=-v/2πr

       v=-dΦ/dt

   E=-(-dΦ/dt)/2πr=(dΦ/dt)/2πr

       φ=A×2πr

       dΦ/dt=dA/dt×2πr

   E=(dA/dt×2πr)/2πr=dA/dt となります。

 

2-4.空気シャワー

 以下の文と写真はウイキペデイアからのコピーです。

「空気シャワー中では、原子核の相互作用で生じた中世パイ粒子の崩壊などによってガンマ線が生じる。このガンマ線から、対生成によって1組の電子・陽電子が生じ、これらの電子対が大気中の原子核によって何度か制動放射を起こすことで、複数のガンマ線を放出する。この過程を繰り返すことで粒子数が増加する。このような現象を電磁カスケードと呼ぶ」

  写真は英語版ウイキペディアからのコピーです。

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 青色の系統では、1個のγ線(光子)から多数の電子、陽電子、光子が発生しています。これは、真空に電子、陽電子、光子の材料が在ることを示していると思っています。はっきり言ってしまえば、「真空は+の電気とーの電気から出来ている」と思っています。

 

2-5.太陽系の真空に対する速度を測定する方法

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真空に静止している観測者が測定する星の周波数=f0

太陽系が真空を移動する速度=Vx

地球の公転速度=v

光速度=c

地球で測定する、星から来る光の周波数です。

  地球の真空を移動する速度がVx+vの時の周波数=f+

  地球の真空を移動する速度がVxーvの時の周波数=fー

 

  f+=f0×(1+(Vx+v)/c)×(1-(Vx+v)/c0.5

     f-=f0×(1+(Vx-v)/c)×(1-(Vx-v)/c0.5

 

上式で f0 とVxが計算できます。

 加えて、f0が異なる多数の星のVxが同じであれば、Vxは太陽系の真空に対する速度だと言えるでしょう。

 

3.ベクトルポテンシャルが実在で、磁束はその表現方法です。

 真空が+と―の電気から出来ているならば、実在するのはベクトルポテンシャルだけで、磁束は実在しないのです。回転する電気の粒子がベクトルポテンシャルです。従って、磁束は実在ではなく、ベクトルポテンシャルの表現方法です。ベクトルポテンシャルだけが実在となります。磁束を示す矢印は、電気の粒子では作れないのです。磁束を示す矢印を作るには、+と-の磁気粒子、つまりモノポールが必要です。

 

4.真空の構造で説明しなくてはならない課題

 課題は、電子の磁気モーメントと陽子の安定性を説明することです。電子の磁気モーメントを説明するためには、電子の回転速度が光速の数百倍になると言われています。真空が+とーの電気から出来ているとし、真空の+とーの電気がクオークだとすれば、電子は3個のーのクオークから出来ていることになります。そして、電子の大きさは真空の最小単位の3倍だとすれば、通常の電気の理屈は成り立たないと思っています。別の理屈があると思っています。

 陽子は水素の原子核です。日本では、陽子の崩壊を捉える実験を行っています。素粒子の本「未知なる宇宙物質を求めて」に書いてありますが、寿命が∞の素粒子は、光子、電子、陽子だけです。中性子の寿命は、887秒とあります。

 

5.電気力線、電位傾度、電圧

5-1.電圧、電位傾度、電界

下記の図は電圧、電位傾度、電界の関係を示します。

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 電圧(電位差)は、ある点からある点迄正電荷を移動させる為に必要なエネルギーの事です。図で言えば、単位正電荷を-Xクーロンの塊から+Xクーロンの塊迄移動させる為に必要なエネルギー(ジュール)です。必要なエネルギーが1(ジュール)なら1(V)、10(ジュール)なら10(V)です。電位傾度はこの電圧の下がる割合を示します。距離L(m)間の電圧が10(V)で、均等に下がるならば、電位傾度は 

10/L (ボルト/m)です。

 そして、電位傾度=電界です。電界は単位正電荷を動かす力ニュートンです。電位傾度はボルト/mですが、ボルト/m=ジュール/mです。ジュール=ニュートン×m ですから、ボルト/m=ジュール/m=ニュートン×m/m=ニュートンとなります。 

 電位傾度を電圧が下がる割合としたのは、電位傾度を電界に合わせる為なのでしょうか。

 

5-2.電荷、電界、電気力線、電位傾度

5-2-(1)電荷

 同じ電荷量の粒子を1m離して真空中に置いた時、この電気の粒子間に生じる力が、

1/(4πε0)(ニュートン)の時の電荷が1クーロン=1(C)です。

ε0は真空の誘電率です。

 ε0=8.854×10-12。 1/(4πε0)=8.998×10

 

5-2-(2)電荷、電界、電気力線、ベクトルポテンシャル

 電界中に1(C)の正電荷を置いた時、その1(C)に働く力、ニュートン=(N)で電界の強さを表します。その1(C)に働く力の方向が電気力線の方向で、働く力(N)が電気力線の密度(本/m)です。5-1.の図で言えば、V=-E×L=―電気力線の密度×Lとなります。

 教科書には、電気力線は電界中に仮想された線と在りますが、私は、ベクトルポテンシャル同様、電気力線も実在するものと思っています。ベクトルポテンシャルが減少する時は、ベクトルポテンシャルが、dt秒ではありますが、電気力線になり、それから、電気力線を作る+・-の電気の粒子の対が真空に戻るものと思っています。ベクトルポテンシャルが増加する時は、真空中に存在する+・-の電気の粒子の対が、dt秒ではありますが、電気力線になり、それから、ベクトルポテンシャルになるものと思っています。

 

5-2-(3)電荷と電気力線と電束、磁極と磁力線と磁束

 +q(C)の電荷からrm離れた所に単位正電荷1(C)を置いた時、1(C)に働く力、反発力fは f=q/(4πε0r)です。そこの電気力線密度(本/m)は

q/(4πε0r)です。ですから、+q(C)から出る電気力線数は、

q/(4πε0r)×4πr=q/ε0(本)となります。

 

 同じように、磁極の場合でも、+m(Wb)の磁極からrm離れた所に単位正磁極1(Wb)を置いた時、1(Wb)に働く力、反発力fは f=m/(4πμ0r)です。そこの力磁力線密度(本/m)はm/(4πμ0r)です。ですから、+m

(Wb)から出る磁力線数は、m/(4πμ0r)×4πr=q/μ0(本)となります。

 

 磁気には磁束密度が在りますが、電気には電束密度が在ります。磁束密度は

B(Wb/m)ですが、電束密度はD(C/m)です。磁気ではB=μHですが、電気ではD=εEです。

 

5-2-(4)平行板間の電界、電気力線とその電荷、電気力線と電圧

平行板面積:S(m

平行板間隔:t(m)tはSに比べ狭いものとします。

帯電電荷量:±q(C/m

平行板間の電界と電気力線1本当たりの電荷

 +qから出る電気力線数はq/ε0(本)です。+qから出るすべての電気力線は平行板に挟まれた空間を通ってーqに入ります。ですから、電気力線密度は、下記となります。 

 電気力線密度=q/ε0(本/m)=E(N/C)

電気力線1本当たりの電荷q1=q/(q/ε0)=ε0

               =8.854×10-12(C)

    因みに、電子の電荷は  1.602×10-19(C)です。

 また、電気の電界と真空の誘電率、磁石の磁界と真空の透磁率は同じ関係に在りますので、磁力線1本当たりの磁極m1=μ0となります。μ0=4π×10-7ですから 

m1=1.256×10-6(Wb)となります。

 

 下の図は平行板の1部を示しています。

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   平行板間では、電荷の間に、言い換えれば電圧のある所に、電位傾度があり、電気力線が在りますが、私は、電気力線が在れば、電位傾度が在り、電圧が在ると思っています。

 

6.ベクトルポテンシャルAとdA/dt=Eと電気力線

 ベクトルポテンシャルAの存在が実験で完全に証明されたのは、30年ぐらい前ですから、Aがどういうものかは、今の所、仮想もされていません。教科書には、「電気力線は仮想線」だとありますが、私は、「5-2-(4)平行板間の電界、電気力線とその電荷、電気力線と電圧」で示したように実在だと思っています。

 電気力線は真空にランダムに存在する、+とーの電気の対が線状に並んだものとします。電位傾度(=電界)Eは、電気力線の密度です。

 E=dA/dtですから、Aが増加する時はEがAに替わり、Aが減少する時はAがEに替わります。EがAになったり、AがEなったりするのですから、ベクトルポテンシャルAとEの構成要素は同じでなくてはならないと思っています。Eは電気力線の密度ですから、Aも電気力線同様、+とーの電気から出来ていて、形が違うものの密度だと思っています。

 v=-dφ/dt=―2πr×dAr/dt=―2πr×Erに於けるErは電気力線の輪の密度ですから、Aも+とーの電気から出来ている何かの輪の密度だと思います。ここでは、Eは+とーの電気の対の並んだ電気力線の輪の密度ですが、Aは「+の電気の回転する輪」と「ーの電気の回転する輪」の対の密度だと思っています。そして、Eの電気力線の輪の1個とAの回転する+とーの電気の輪の対1個が相互に入れ替わるものと思っています。後の「8-3.ベクトルポテンシャルAと電気力線の相互変換の図」を参照願います。

 電気力線は磁力線のように簡単には可視できませんが、磁力線と同じ性質があると思っています。磁力線の写真、吸引力と磁束密度の実験結果及び反発力と磁束密度の実験結果を見て頂きます。詳細ついては、私のブログですが、「磁石の吸引力、反発力とその磁力線と磁束密度の実験」を参照願います。

 私は、実験結果から、磁力線は縮もうとするし、磁力線どうしは反発するものと思っています。電気力線も同様に、縮もうとするし、反発するものと思っています。

 

7.磁石の吸引力・反発力と磁束密度、吸引時・反発時の磁力線と磁束密度

7-1.磁束密度と吸引力のグラフです。    f:id:omata-yoshiaki6475:20200908070249p:plain

    横軸:磁束密度(Wb/m

    縦軸:吸引力(g)

    グラフの色と磁石隙間

      青:20mm 赤:30mm 黄緑:50mm

 

7-2.磁束密度と反発力のグラフです。

   f:id:omata-yoshiaki6475:20200908070401p:plain

   横軸:磁束密度(Wb/m

   縦軸:反発力(g)

   グラフの色と磁石隙間

    青:5mm 赤:10mm 黄緑:20mm 紫:30mm オレンジ:50mm

 

7-3.吸引力及び反発力の測定方法です。

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7-4.吸引時の磁束測定方法です。

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7-5.反発時の磁束測定方法です。

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7-6.吸引時の磁力線と磁束密度です。

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7-7.反発時の磁力線と磁束密度です。

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8.電気力線とベクトルポテンシャルAの相互変換

8-1.ベクトルポテンシャルA及び相互変間過程の図

 電界Eは電気力線の密度ですが、電気力線は+とーの電気の対が線状に並んだものとします。ベクトルポテンシャルAは+の電気の回転する輪とーの電気の回転する輪の対の密度とします。下の図がベクトルポテンシャルAです。そして、AからE、EからAへの変換過程を示します。

   

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8-2.ベクトルポテンシャルAと電気力線の相互変換

  電気力線(電界E)とベクトルポテンシャルAの相互変換は、真空中の+とーの電気の対とAの相互変換の中間で起こるものとします。ベクトルポテンシャルAが増加する時は、「真空中の+とーの電気の対→電気力線→ベクトルポテンシャルA」の変換が起こるものとします。ベクトルポテンシャルAが減少する時は、「ベクトルポテンシャルA→電気力線→真空中の+とーの電気の対」の変換が起こるものとします。

真空中の+とーの電気の対とベクトルポテンシャルAの相互変換は、電気力線を介しての相互変換ですが、電気力線の存在時間はdt秒とします。そして、dt秒間に出来た電気力線は蓄積されるものとします。dt秒間に真空中の「+とーの電気の対の輪」1個とベクトルポテンシャルAの「+の電気の回転する輪とーの電気の回転する輪の対」1個の変換が10組あったとすれば、10個の電気力線が存在するものとします。

 

8-3.ベクトルポテンシャルAと電気力線の相互変換の図

 φ=2πr×Arですが、下の図の輪の対の密度は、輪の半径rに反比例します。下の図に示すように、Aが増加する時は、電気力線1本が、+とーの電気が回転する輪の対1個になります。Aが減少する時は、Aの輪の対1個が電気力線の輪1個になります。

 

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9.e=―dφ/dtとe=BLVの関係

9-1.導体が横切る磁束数とコイル内の変化する磁束数が同じ場合

 e=―dφ/dtとe=BLVのeを区別するために、e=―dφ/dtはec=―dφ/dt、e=BLVはem=BLVとします。

 em=BLVでdt秒間に導体が横切る磁束数はB×L×V×dtです。ec=―dφ/dtで、磁束密度Bを囲むコイルの寸法をL×(V×dt)とすれば、

ec=―dφ/dtのdφはーB×L×(V×dt)となります。―は導体が磁束を切ると言う事で、磁束が減少すると言う意味です。そして、

ec=―(-B×L×(V×dt))/dt=B×L×V=em となります。

 この考えは、今から54年前の教科書にも載っていました。その時は、「導体が横切る磁束数とコイル内の変化する磁束数が同じなら、導体に発生する電圧とコイルに発生する電圧が同じである」と言う考えには納得できないものが在りました。

 ec=―dφ/dt=B×L×V=em の理由を最小磁束φsを仮定して考えてみます。

 

9-2.最小磁束φsの仮定  

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 最小磁束φsが無くなる時に発生する電圧をvs0とします。

Asrが無くなる時に発生する電気力線が作る電位傾度をEsrとします。

Amが無くなる時に発生する電気力線が作る電位傾度をEmとします。

vs0=―Esr×2π×r=―Em×2π×rm です。

 

9-3.導体がφsを横切る時に発生する電圧の理由の考え

 導体中でAmがvs0に替わる考えです。

Amは下の図のように、Amが完全に導体に入った所で切断され、電気力線Emに変わり、導体にvs0が発生するものとします。

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     1m×1mにある最小磁束10×10=100個を、導体が横切る時に、導体には下記のようにして電圧が発生するものと考えています。

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 上の図で、最小磁束φsは、導体方向に10個、導体の移動方向に20個あります。最小磁束φsの数は20×10=200で、200個あります。今、導体がdt秒に1m移動するとします。最小磁束φsを横切る時に導体内に発生する電気力線はdt秒存在するものとします。

 導体が1m移動し10列の最小磁束φsを横切ると、導体の移動方向に並ぶ最小磁束の所に位置する導体の所では、電気力線の密度がEm×10倍になり、導体のその位置に発生する電圧はvs0×10となります。導体には、その位置が直列に10か所ありますから、導体に発生する電圧は、vs0×10×10となります。

 言い換えますと、始めの1列の10個の最小磁束を横切ると、最小磁束の所で、電気力線の密度による電圧が、10か所直列になるので、導体に発生する電圧はvs0×10となります。dt秒後には、10列の最小磁束を横切るので、導体中の電気力線の密度は10倍になります。ですから、導体に発生する電圧はvs0×10×10=vs0×100となります。

 dt秒後は、導体内に電気力線が出来ると同時に、電気力線が同じ数だけ無くなり、導体内の電気力線密度の変化はなくなるので、電圧はvs0×100で一定になります。

 

 9-4.最小磁束φs100個がdt秒内に無くなった時のコイルに発生する電圧

 最小磁束φs100個がdt秒で無くなった時、最小磁束φs200個を囲むコイルにvs0×100の電圧が発生します。

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  上の図のように、最小磁束φs200個を囲む半径rのコイルの所のベクトルポテンシャルAr200は、最小磁束φsが1個の時のベクトルポテンシャルAsr200の200倍になります。

 コイルに囲まれた最小磁束φsが、1個ずつ無くなりdt秒内に100個が無くなったとします。コイルには、最小磁束φsが1個無くなる度に、コイル内に最小磁束φsが作るAsr200に相当する電気力線の密度が発生します。そして、電気力線の密度により電位傾度Esr200が発生します。この電気力線はdt秒存続するとします。コイル内の最小磁束φsが100個無くなった時には、コイルに存在する電気力線密度は、Asr200に相当する電気力線の100倍となります。電位傾度Er200はEsr200×100となります。この時のコイルの電圧は、Esr×100×2π×rで、Esr×2π×r=vs0ですから、コイルの電圧はvs0×100となり、100個の

φsを通過した導体に発生する電圧vs0×100に等しくなります。

 dt秒後は、コイルに電気力線が出来ると同時に、電気力線が同じ数だけ無くなり、導体内の電気力線の密度の変化はなくなるので、電圧はvs0×100で一定になります。

 

10.電気力線密度の増加

  導体が磁束を横切る時の発電でもコイル内の磁束の変化による発電でも、導体及びコイルで電気力線の密度増加が起こり、電気力線密度が高くなって行きます。真空中では電気力線どうしは反発しますが、導体内では電気力線密度の増加が起こるのものと思っています。

 

11.導体が最小磁束を横切った時の発電電圧と導体の移動速度

 導体が最小磁束を横切った時に発生する電圧は、導体の移動速度に関係なく、一定と仮定しています。気になる所ではありますが、導体が最小磁束を横切る時の発電電圧が導体の移動速度で変化すると、導体に発生する電圧vs0mは、コイル内の最小磁束が無くなった時の発電電圧vs0cと違ってしまいます。そうすると、ec=vs0c×n、

em=vs0m×n のvs0cとvs0m が異なる為、

ec=―dφ/dt=BLV=em が壊れてしまいます。実際には、ec=―dφ/dt=BLV=emですから、導体が最小磁束を横切る時の発電電圧vs0は、導体の移動速度により変化しないと思っています。

 

 12.吸引力、反発力と電気力線

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13.ベクトルポテンシャルの歴史

 1861年 マクスウェルが、電磁場理論を作った。

    マクスウエルがベクトルポテンシャルを導入したのはこの頃だと思ってい

    ます

    当時は、「磁気がベクトルポテンシャルの渦」だなんて誰も相手にしなか

    ったようです。

1888年 ヘルツが電磁波を実験で確認した。

    しかし、ヘルツはベクトルポテンシャルを否定しました。

    そのためか、ベクトルポテンシャルは再び見捨てられたようです。

1959年 アハラノフ・ボーム効果が発表されました。

           電子がベクトルポテンシャルに影響を受ける現象です。

     磁気を作らずベクトルポテンシャルだけを作りだすのは無限長のソレイド

    だけですから、どの実験の結果も完全にはベクトルポテンシャルの証明に

    は至りませんでした。磁気のないベクトルポテンシャルだけを作り出した

    のは次の外村彰でした。

1986年 外村彰がアハラノフ・ボーム効果を実験で決定的に証明しました。

 

 14.ベクトルポテンシャルに関するネット上の記事

14-1.放送大学教授 (東京大学名誉教授) 岡部洋一著 電磁気学 2016年4月

(ネット)からのコピーです。

 ソレノイドのまわりに別のコイルを巻くと、変成器(transformer)を作ることが

できる。内側のコイルを一次コイル、外側のコイルを二次コイルと呼ぼう。この場

合でも、二次コイルの存在するところには磁場がなくても、二次コイルは、ベクト

ルポテンシャルを介して、一次コイルの作る磁場を感じることができる。特に鉄心

があると、磁場はほとんど鉄心中を通過するので、ベクトルポテンシャルの考えを

抜きにしては、両者の結合を理解することは不可能である。

しかし、結果だけ見ると、ファラデーの法則と一致し、鎖交する磁束の影響が現れる

 

14-2.2019年3月に行なわれた日本物理学会で発表された谷村省吾著「ベクトルポテンシャル古典力学的意味とベクトルポテンシャルを用いない量子力学」からのコピーです。

  • 磁場だけを用いて(少なくとも質点荷電粒子の)古典力学も定式化できた。
  • AB効果も(非局所相互作用を使ってよければ)ベクトルポテンシャルなしで説明できた。

   ベクトルポテンシャルは,あったら便利で意味づけもできるし、なければ

   なしでも済ませられる.

 

15.重力線

  電気力線と磁力線は今の所仮想の存在ですが、ベクトルポテンシャルが実在なら、電気力線も実在だと思っています。そして、磁力線も、同心円上に広がったベクトルポテンシャルの円板を示すものとして、実在相当と思っています。重力線も仮想としてなら、電気力線及び磁力線同様に定義できます。私は、重力線は、磁力線と同様に実在相当と思っています。

 太陽が真空に対して動いているなら、太陽から出ている重力線も太陽と共に動いていると思っています。電子も電気力線と共に動いていると思っています。つまり、重力線を纏った太陽、電気力線を纏った電子が動いていると思っています。太陽を包んだ重力線と電子を包んだ電気力線は、動いている太陽と電子のパイロットウエーブに成り得るのではないかと思っています。そして、アハラノフ・ボーム効果ベクトルポテンシャルである電気の粒子の回転と電子を包んだ電気力線で説明できるのではないかと思っています。

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